そのアイディアが、ビジネスモデル特許に該当するか?
そのアイディアが、ビジネスモデル特許に該当するか?
ビジネスについての新しいアイディアを思いついたので、「ビジネスモデル特許を取得できるのではないか?取得したい!」というお問い合わせがあります。今回は、そもそもあなたの新しいそのビジネスアイディアが、ビジネスモデル特許になるのか・ならないのか、その判断の仕方・考え方についてご説明します。
(1)ビジネスモデル特許とは
ビジネスモデル特許は、広義の意味では漠然とビジネス方法(ビジネスモデル)に関係する特許発明ともいえますが、一般にはより狭く、そのビジネス方法・仕組みを実働させるために、そのビジネスをコンピュータを使って実現したコンピュータ・ソフトウエアの発明(例えば、サーバ、データベース。PC、スマホ)に与えられる特許という意味です。
より具体的に、そのビジネスで扱われる情報やデータを、コンピュータを使ってやり取り・処理し、その結果、ビジネス方法・仕組みを実働させるコンピュータ・ソフトウエアの発明といってもよいでしょう。このことから、ビジネスモデル特許は俗称で、特許的に特許発明の対象物は、そういう処理動作をするコンピュータ(例えばサーバ)だったり、そういう処理動作をするソフトウエアプログラムとなることから、コンピュータ・ソフトウェア発明の一類型と位置付けられます。
(2)ビジネスモデル特許にならない類型
それでは逆に、ビジネスモデル特許にならないのはどんなものなのでしょうか。これを理解することで、あなたの新しいそのアイディアがビジネスモデル特許になるのか・ならないのか、だいぶ分かってきます。
ビジネスモデル特許にならないもの、例えばですが、
- A:コンピュータ・ソフトウェアを使ってない。
- B:人同士の商売上の新しいルール、約束事、契約事の範疇(「人為的取り決め」といいます)
- C:コンピュータ・ソフトウェアを使っていても、一部・途中で、人間が行う人為的取り決めや人間が行う作業が発生している。
A、Bはビジネスモデル特許対象ではなくNGです。出願しても拒絶されます。特許法第29条第1項柱書に規定される発明該当性違反です。
(3)ビジネスモデル特許になる・ならない微妙なケース
しかし、Cのようにビジネスモデルに対し、どの程度にコンピュータが関係してくるかによって、微妙な場合もあります。
例えば、当然の前提としてコンピュータ・ソフトウェアを使用してはいて、一見「人為的取り決め」的な要素も入るのだけれども、それをコンピュータ・ソフトウェアが処理しているようにして、全体として、人そのもの自身は関与していないように位置付けすることができれば、コンピュータ・ソフトウェア発明となる可能性もあります。つまり、このような微妙な場合、要は、その発明の捉え方、説明の仕方で、ビジネスモデル特許対象となることもあるのです。
この点、弁理士の腕が発揮されるところです。Cのような類型の場合、そのアイディアをどう捉え、位置付ければ、ビジネスモデル特許対象の範疇に導けるのか、弁理士はその考え方を理解しているからです。
まとめ
- ビジネスモデル特許では、コンピュータを使うことが必須です。
- 人為的取り決めは、発明ではない。
- 人為的取り決めを含んでも、発明の捉え方次第では、ビジネスモデル特許になる場合がある。