実用新案の具体例

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実用新案の具体例

実用新案は自然法則を利用した技術的思想の創作を保護するもので物品の形状、構造又は組合せに係るものが保護対象となります。

特許を出願したことはあるけど実用新案を出願したことはない、という人も多くいると思うので、実用新案としては具体的にどんな商品に関する技術が出願されてるのかが気になる事項としてあるのではないでしょうか。

弁理士おびかね
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実用新案は「じつようしんあん」と読みます。略して「実案(じつあん)」と言ったりもします。


今回は、身近な実用新案の具体例3つを説明していきます。

  • シャチハタ工業のスタンパー
  • 花王のクイックルワイパー
  • キングジムのドッチ(ファイル)

そもそも実用新案って何?という方は、以下の記事もご覧ください。

実用新案の具体例

実際の実用新案はホームセンターで売ってるようなアイデア商品に関する出願が比較的多くあります。
最近の出願ではないのですが、多くの人が知っているイメージしやすい商品を紹介させていただきます。

まずはシャチハタ工業のスタンパーです。

・実用新案 登録第1120473号

今となってはネーム印といえばシャチハタと言えるほど誰もが認識している商品ですが、この商品が実用新案となっています。

概要としては

軟質多孔性プラスチックの印字体と、それを押し付けるばねを筒に入れた構造というものになります。

弁理士おびかね
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材料 + 構造 の実用新案ですね。

実用新案は権利期間満了とはなっていますが、今のハンコ業界でのシャチハタの地位を築くのには大きな貢献をした権利と言えるのではないでしょうか。

つづいて花王のクイックルワイパーです。

・実用新案 登録第2055025号

清掃面の向きを変えやすくグラつきをおさえることができる2軸の連結部位の構造が記載されています。

弁理士おびかね
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持ち手(ハンドル)の付け根の構造ですね。

生活必需品において非常に大きなシェアを誇る花王の製品の一つとして、クイックルワイパーもメジャーな商品の一つと言えます。もちろん、CM、販促力等様々な要因はあるかと思いますが、技術的な面での保護として、この実用新案も貢献しているものと考えられます。

つづいてキングジムのドッチ(ファイル)です。

・実用新案 登録第1247414号

左右の何れか都合のよい方向に櫛板を展開できる綴込具が記載されています。

弁理士おびかね
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従来は、どちらか一方だけにしか展開しなかったのですね。

文具業界において有名なキングジムの主力製品の一つとして、ドッチ(ファイル)(登録商標)が知られています。ネーミング通りに「どっちにも開くことのできる」ファイルです。

特許と実用新案どちらで出願するべきか

具体的な実用新案のイメージが少しできたかと思いますが、実際に製品に関する出願をするときに、特許で出願をするべきか/実用新案で出願をするべきかで悩むことがあるかもしれません。

実用新案というと発明の中で簡単な部類のものというイメージがあるかもしれませんが、実用新案なら権利を取得できるけど特許だと権利を取得できないとなるとは限りません。ちゃんと、新規性、進歩性をクリアできる技術内容であれば特許として権利化をすることが可能です。

そのため、権利期間や権利行使のしやすさ等を考えると、どちらでも有効な権利にすることができそうな技術であれば、特許として出願しておいた方がよいと思います。

「実用新案登録に基づく特許出願」について:
実用新案の出願は、途中で特許出願に変更することはできますが、実用新案の出願は短期間(通常は半年以内)で登録(権利)になります。登録(権利)になってしまうと出願変更できなくなります。そこで、登録(権利)になった後でも、特許出願に変更できるように制度が作られました。ただし、特許の審査請求期間(出願から3年間)とのバランスから、実用新案の出願から3年以内に限定されています。

弁理士おびかね
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迷ったら特許にしときましょう。後々に、実用新案に変更することもできます

ただし、後願排除のみが目的であったり、実用新案の登録番号を記載して早期に商品PRをしたい等の理由があって、特許出願よりも実用新案登録の方が都合が良いといった場合であれば、実用新案で出願することも戦略の候補として検討してみる価値はあるかと思います。さらに、進歩性をクリアできなさそうな場合にも、実用新案を選択することになります。

実用新案でも、一定のけん制効果はあります。

うまく使い分けることで、有効に商品を保護したり営業トークとして使ったり等ができるので、常に特許というわけではなく、案件によっては実用新案でも十分な効果を発揮してくれる可能性はあります。

まとめ

今回は実用新案の具体例を紹介させていただきました。

今まで実用新案についてはよく知らないので、出願検討時に全く考慮に入れてなかったという人も、実用新案として具体的にどのようなものがあるのかを知れば、出願を検討する際の参考情報になると思います。

コストを節約しつつも技術を護るための出願をしていきたいとなった場合は、ケースによっては実用新案でも十分といったケースも出てくると思うので、特許出願一辺倒ではなく、この商品に関しては実用新案での出願も視野に検討するというケースもつくってみてはいかがでしょうか?

さらに詳しく知りたい方はお気軽にお問い合わせください。ご相談は無料です。

実用新案について、他の記事はこちらです ↓↓

弁理士おびかね
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弊事務所は実用新案も得意なのでぜひご依頼くださいね。


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