特許と期限
特許の期限について
特許権はいつまでか?
特許って、ずーっと自分だけで使えるものではありません。どのくらいの権利期間の長さが適切でしょうか?今回は、特許の期限について説明します。
結論から言うと
となっています。
短すぎる場合
例えば、特許が1年しか自分のものにならなければどうでしょうか?一生懸命に考えて発明したアイデアをすぐにまねされてしまうことになります。1年では短すぎるような気がしますね。このように、短い期間だけしか特許を認めなければ、発明しようと思わなくなります。結果として、発明が減ってしまいます。
長すぎる場合
逆に、100年くらい長くすればよいでしょうか?一生懸命に考えて発明したアイデアなので、できる限り長いほうがいいですよね。ただし、そうすると、1925年ごろに発明されたとされているトランジスタの特許が2023年の現在でも有効になります。そうすると、他人にとってはトランジスタの利用が制限されてしまいます。このように、特許を長い期間認めてしまうと、かえって技術の進歩をじゃますることになります。
どのくらいの長さが適当なのでしょうか?
特許の場合には、特許の期限は、特許庁に申請書類を提出(「出願」)した日から20年です。これは、世界中どこの国でも同じです。これくらいの長さがちょうどよいような気がしますね。
特許権は出願日から20年間有効です。
特許が切れるとどうなるの?
特許が切れた発明は、誰でも自由に使うことができます。これを逆手にとると、ライバル会社の特許が切れたときはチャンスといえます。
特許の期限の具体例について
- 出願日: 2019年 2月20日
- 審査請求日:2022年 1月10日
- 特許査定: 2022年10月 5日
- 特許登録: 2022年10日20日
上で説明した例では、出願日は2019年2月20日ですから、権利期間は20年後の2039年2月20日までです。権利期間は、最終日が日曜日であっても、その日に満了します。
期間の計算の方法
特許の管理業務にとって、「期間の計算」はとても重要です。これを間違えると、出願が取下にみなされるなどして、クライアントに不利益をもたらすおそれがあります。例えば、審査請求の期限や意見書の提出期限を計算する必要がありますね。
期間の計算は、特許法第3条に規定されています。これに従って期間を計算することになります。
例えば、特許庁から拒絶理由通知を受けた場合、拒絶理由通知書の発送日が2014年8月20日であるとすれば、初日の8月20日は計算に入れません。8月21日から1日、2日、3日と数えていき、60日目に当たる最終日は2014年10月19日になります。この場合は、最終日の10月19日は日曜日ですから、翌日の10月20日が期限になります。先ほどの権利期間の場合には、最終日が日曜日でも翌日にはならないのですが、拒絶理由通知の場合には、1日延びることになります。得したような気持ちですね。
商標権はいつまでか?
商標権の期限は登録から10年です。ただし、この期間は申請することで何回でも更新できます。半永久的に使い続けることができる、ということです。ちなみに、特許の場合には、1年ごとに支払うようになっていますが、商標の場合には、5年まとめて、又は10年まとめて支払うようになっています。
商標権の権利期間は登録から10年(又は5年)ですが、何度でも更新できます。半永久的な権利です。
どうして使い続けることができる制度になっているのでしょうか?
なぜなら、商標は、使い続けることによって商品を買う人や、サービスを受ける人の信用が蓄積されるため、ずっと権利を持っていられるようにするためです。せっかく信用を得たのに、途中で使えなくなると困りますよね。長い期間認めても、(特許のように)かえって技術の進歩を邪魔する、というような事情も特にないですし。
特許が発生するのはいつ?
特許庁の審査官が審査した結果、拒絶の理由が解消された場合には、審査官は「特許査定」を出します。この「特許査定」の謄本が送達された日から30日以内に特許料を支払うと、特許庁にある特許登録原簿に「特許権の設定登録」が行われます。この「特許権の設定登録日」から権利が発生します。設定登録後には「特許公報」が発行されて、特許権者、技術内容等が公示されます。
まとめ
- 特許権の期限は出願日から20年
- 商標権の期限は登録日から10年で何度でも更新可能
- 特許権が発生するのは特許料を支払って権利が設定登録された日