類似品があっても特許はとれるか?
類似品があっても特許はとれるか?
特許を権利化するために、似たような特徴の類似品が既に他社から発売されているのに自分の出願が特許を取得できるのかどうか、について疑問を持った事があるかかもしれません。
今回は似たような技術がある時に特許をとれるのかどうかについて説明させていただきます。
新規性・進歩性を主張できる違いがあれば権利化は可能
他社からの類似品が販売されている状況で、新たに自社が出願する技術で特許をとれるか否かについては 「新規性・進歩性を主張できる違いがあれば権利化は可能」 と言うことができます。
言い換えると、今までにない新しいものか(新規性)と、今までにあるものから容易に思い付かないか(進歩性)、があるかが大きなポイントになってきます。
具体例を挙げると、大きく見れば類似した製品である「スマホ」でも各メーカーがそれぞれ製品を販売していて、各メーカーがそれぞれの製品に応じた出願をしていて、それぞれの出願が権利化されています。
同じスマホでも「省エネ」「耐久性」「処理速度」「新機能」等、様々な観点での課題はあり、それぞれの課題を解決するための手段も変わってくるので、その新しくなされた技術で特許を狙うことができるのです。
スマホでなく自分の開発している商品に当てはめてみて、今まであった従来品から何処を工夫してどんな課題を解決できたかを言える技術であれば特許を取得できる可能性はあるので、自分の商品の従来品と違う要素をしっかりと検討してみましょう。
違いを出すために近い出願を調べてみる
特許庁で審査をする際は、従来技術に同じものがあるか、従来技術から何が違うかを判断するために、その出願より先にあった先行技術が調査されます。
新規性・進歩性の判断はすべての公開されている公知技術を元に判断がなされますが、実務的な事情も踏まえて圧倒的な割合で先行技術の調査は特許出願のデータベースを使ってなされ、出願以前の特許公報が先行技術として多く使われているのです。
日本は世界でも二位の特許件数ということで、膨大な量の各技術での出願がなされているので、ほとんどの技術が特許公報基準の先行技術調査で足りているといった状態です。
もちろん技術分野によっては特許公報以外の方が引用文献に適したものもあるので、その場合は雑誌や学術論文が引例に挙げられることもあります。
ほとんどの技術が特許公報との差を出せるかで審査がすすむので、自社の製品の今回の発明に一番近いものが何かをリサーチして、出願明細書をつくる際にはその出願から何が進歩したのかを説明することができれば、特許化に近づくことになります。
まったくリサーチをしないで、特許庁の審査でいきなりまったく同じ事が書かれている出願が出てきてしまった場合、どうあがいても権利化はできなくなってしまい、せっかく費用と時間をかけて出願したものが無駄になってしまうので、しっかりと従来技術を把握しておくことも上手く権利化を狙うためには重要になってきます。
世の中の発明はほとんど応用発明
発明をする際は基本特許と言えるような画期的なアイデアで、その類似品をつくる場合は絶対その特許を使うような技術を発明できたら素晴らしいことですが、実際に世の中にあるもののほとんどは応用発明に該当する発明であると言えます。
類似品があるから「特許をとるのは難しいかな」 と諦めるのではなく、「その技術だとまだこんな課題があるから、さらに工夫してよい製品を開発して特許出願もしていこう」 と考えて改良を重ねる毎に特許を出願していくというのが良いと思います。
まとめ
このように類似品、似たような他社製品があったとしても、それらの製品ではまだ解決出来ていない部分を改良していけば、違いも生まれ特許化も可能になってきます。
改良するために新しく加えた構成が特許のポイントになってくるので、それらの違いをしっかりおさえて有効な特許出願に繋げていきましょう。