特許申請から権利取得までの流れ
特許申請から権利取得までの流れ
今回は、特許申請から特許権取得までの手続きの流れについて説明します。特許は特許庁での審査を経て特許権になるので、当然に特許庁の内部での審査の流れも存在しますが、今回は主に、出願人側から見た場合の手続きの流れについて説明したいと思います。
どのような手順になるか、簡単に説明します。
特許申請前の準備
まず、特許申請前に準備する必要があります。以下のステップになります。
- 技術を開発する。
- 特許がとれそうなポイントを見つける。
- 似たような技術がないか調査する(先行技術調査)
特許申請(特許出願)する
実際に特許申請用(特許出願用)の書類を作成していきます。特許申請書類は、様式も細かく定められていますし、特許になりやすく記載する必要もありますので、可能であればプロの弁理士に依頼して書いてもらいましょう。依頼してから約1ヶ月で特許申請用の書類が出来上がってきます。
(補正指令を受ける)
このステップは様式が整っており、不備がなければ通知されません。補正指令を受ける、ということは、何らかの方式的な不備があった、ということです。軽微な方式的な不備であれば補正で解消できますが、申請書類に大きな不備があった場合には、補正で解消できない可能性もあります。
審査請求する
特許は申請しただけでは、特許庁は審査してくれません。審査してもらうためには、「審査請求」(正確には「出願審査請求」)をする必要があります。審査請求は、出願時を始点として3年以内にすることができます。3年以内に審査請求しなければ、自動的に申請が取り下げになってしまいます。審査請求には以下の式で計算される庁費用が必要です。
・138,000円+(請求項の数×4,000円)
(例)「請求項の数」が5の場合には、138,000円+(5×4,000円)=158,000円
この審査請求料は、割合に高額ですので、特許庁では個人事業主や中小企業用に「減免」を設けています。つまり、審査請求料を値引きしてもらうことができます。
審査請求すると、特許庁の審査官が審査をします。ただし、審査官はたくさんの案件を抱えているため、審査請求しても順番待ちになってしまいます。通常は約10ヶ月の待ち期間が生じます。
拒絶理由通知を受ける
審査官が審査した結果、特許にできない、と判断されると、「拒絶理由通知」が送付されてきます。「拒絶」なんてびっくりしますよね。でも、安心してください、大部分の申請には「拒絶理由通知」が送付されてきます。拒絶理由通知には「なぜ特許にできないのか」という理由が細かく記載されています。
意見書と補正書を提出する
拒絶理由通知には、意見書と補正書(正確には「手続補正書」)を提出して反論することになります。このうち、補正書には、特許請求の範囲の記載を修正する内容を記載し、意見書には拒絶理由に該当していないという主張を記載します。つまり、意見書と補正書を特許庁に提出することによって、審査官の拒絶理由に対して反論するのです。
拒絶査定を受ける
意見書と補正書を特許庁に提出しても、依然として拒絶理由を解消していない、と判断されると、拒絶査定が送付されます。この拒絶査定は、特許庁の「審査」の最終判断ですので、反論できません。(ただし、「審査」とは別の段階である「審判」を請求したうえで、反論することはできます。この審判を「拒絶査定不服審判」といいます。)
特許査定を受ける
意見書と補正書を特許庁に提出した結果、拒絶理由が解消している、と判断されると、めでたく特許査定が送付されます。この特許査定が送付されると、30日以内に特許料(1-3年分)を納付する必要があります。
特許料(1-3年分)を納付する
特許料(1-3年分)を納付すれば、ついに特許権が成立します。この権利成立のときだけ、3年分を一度に支払うことになります。なお、特許権は、納付後に権利成立した後、出願から20年後まで継続します。
・毎年 2,100円+(請求項の数×200円)
(例)「請求項の数」が5の場合には、毎年 2,100円+(5×200円)=3,100円ですので3年分だと9,300円を一度に送付することになります。
まとめ
今回は、特許申請から権利取得までの流れについて説明しました。今回は説明しませんでしたが、弁理士に依頼した場合には、ステップ毎に手数料がかかりますので、ご注意ください。