特許を多角的に出願する方法
特許を多角的に出願する方法
特許を出願する際に作った製品自体の特許出願を1つだけするというケースがあるかと思いますが、それだけでは後々その製品をしっかり護れるかというと十分とは言えません。
今回は、どのような手法で多角的に出願すれよいかについて例を挙げて説明していきます。
異なる切り口で課題を考えて技術毎に出願していく
漠然と『製品に関する出願をたくさんしていこう』と言っても、具体的に何をやっていけばよいかわからないですよね。 そんなときは様々な角度から課題を考えてみて、それぞれの課題の解決策を考えていくことで発明を広げることができます。
具体的な例として「鉛筆」しか従来技術が無い世界で「ノックしたら芯が出るシャープペンシル」を発明したと仮定します。
シャープペンシルの基本技術を出願することは重要ですが、そのままでは他社に応用特許を取られてしまう可能性があります。
ここで、具体的に考えられる課題とその解決策の例を挙げていってみます。
- 握ってると手が痛くなる → 持ち手部分をゴム製にする
- 芯が折れやすい → 先端の芯を覆う部分の形状を工夫する
- ノックするのが面倒 → 振るだけで芯が出る構造
- ノックするのが面倒 → 持ち手部分にノック機能を付ける
- 消しゴムを持ちかえるのが面倒 → キャップ部分に消しゴムが付けられるようにする
- 芯が折れやすい → 芯の材料を改良(ハイポリマー芯)
- デザイン性を高めたい → 芯入れと透明外カバーの間にキャラが描かれた紙を入れる構造
このように、一つの製品を作ったとしても、さらに新たな課題についての改良案を考えていくことで、様々な応用特許を出願していくことが可能になります。
応用特許を継続的に出願していく
ある程度長い期間に販売し続けていくことを考えている製品ならば、継続的に応用発明について出願していくことが重要になっていきます。 このように時間をかけて継続的に応用発明を出願していくことで、特許を延命することができるためです。
上で書いた応用特許の出願を最初の出願時に考えられるかというと、それは現実的では無いため、最初の出願をした後に追加で出願をしていくことになるかと思います。
出願が公開になる1年半以内であれば、応用出願の権利化のハードルも下がるため、最初の出願をしてから1年半の間は特に関連発明、応用発明の出願を積極的にしていった方がよいでしょう。
特許網の形成でより優位に商品展開を
一つの強い特許を取得することも有効なことですが、有用な応用特許を他社に取られてしまった場合には、たとえ基本特許を取得していたとしてもその応用特許を使った製品がつくれなくなってしまったり、クロスライセンスという形でライバル企業と製品で勝負しないといけなくなってしまうかもしれません。
せっかく良い技術を出願したのに、その後の応用出願を手を抜いたばっかりに、上手く商品展開ができなかったということを防ぐためにも応用特許を出していって製品を上手くフォローする特許網を築いていくことが重要になってきます。
この商品の類似品を販売したいと考えた会社がいたとしても、特許でしっかりと護られた製品であった場合、ちゃんと特許を調べる会社であればその製品に参入することを諦める可能性が高くなります。
特許でしっかりと製品を護ることで、競合製品が出てくる可能性を下げられるので、長く安定して製品を販売していくためにも、特許によるサポートもしっかりと計画的に行っていきましょう。
まとめ
今回は、特許を多角的に出していくための方法を具体例を交えて説明させていただきました。
製品や業種によって方法やポイントは変わってくるかと思いますが、自社の製品でどのように特許網を形成できるか、多角的な出願をしていけるかを検討してみてください。
戦略的に出願するため複数人で出願方法を相談してみるといったことも有効な出願に繋がると思うので、いつもの特許出願から一歩先に進んだ出願をして特許をより活用していきましょう。