個人で特許申請するときにやりがちな5つのミス
個人で特許申請するときにやりがちな5つのミス
今回は個人で特許申請(特許出願)した場合にやってしまう、代表的な5つのミスについて解説したいと思います。ここに挙げたミスをしないようにするだけでも、特許権取得へかなり近づくので、ぜひ覚えておいてください。以下の5つのミスが多いようです。この記事ではこれら5つのミスについて解説します。
- 様式が整っていない
- 従来技術の記載量が多い
- 発明の実施例の記載量が少ない
- 特許請求の範囲の記載量が多い
- 図面の描き方が雑
様式が整っていない
まずは「様式」が整っていない、というミスです。これはプロである弁理士であっても時々やってしまうミスです。。個人や初心者の方であれば、基本的にインターネット等で検索して、きちんとした書式(Ms-word)をダウンロードして使用することが望ましいです。様式が整っていなければ、補正指令が来てしまうため、様式を整えることは必須となります。少しのミスも許されないため、かなり気をつけたほうがよいです。
従来技術の記載量が多い
これは本当によく見かけます。実際には、従来技術の記載量が多くても別に悪いことではないのです。ですが、従来技術をたくさん記載するのであれば、ぜひ、実施例の記載の方に力をかけて欲しいです。というのは、従来技術に記載した内容は、文字通り「従来からある技術」であると認めたことになるため、特許の権利化には役に立たないからです。つまり、拒絶理由を受けた際に、補正で追加しても特許性が向上しないため、補正にも使えないのです。従来技術として文献を挙げることも必要ですが、文献も1つか2つ挙げておけば十分です。
発明の実施例の記載量が少ない
これもよく見かけます。発明の実施例は、「実施できるように」、「生産できるように」記載することが要求されています。そのため、ある程度の記載量が必要です。実施できるように、生産できるように記載しておかなければ、拒絶理由に該当する可能性が高くなってしまいます。
さらに、実施例の記載は、特許を権利化する上でも重要です。というのも、特許庁における審査の結果として拒絶理由が通知されたときに、請求の範囲を補正する必要があります。
その補正の際には、実施例の記載を持ってくることがスタンダードなやり方になってきます。そのため、実施例の記載量が少ないと、補正するための材料が少ないことになるため、権利化にあたっては不利になってきます。
同じ分野のプロの記載量(公開公報を見ればわかります)を見るなどして、同じくらいの分量の記載とすることが好ましいです。
特許請求の範囲の記載量が多い
これは、プロでもベテランに多く見られる特徴です。特許請求の範囲は、権利化後には権利範囲を規定する重要なものです。そして、記載量が多いということは、その分だけ権利範囲が限定されてしまうことになります。例えば、「消しゴムがついた鉛筆」は「鉛筆」よりも限定された内容になります。単なる「鉛筆」で権利を取得したほうがより広い範囲まで権利が及ぶので得ですよね。つまり、記載量が多いと権利範囲が限定されてしまうことになります。
ただし、特許は審査を経て権利化される必要があるところ、短すぎると審査官に「不明確である」と指摘されて権利になりません。そのため、権利化に必要最小限の記載量とする、というのが正解になります。どうすれば「必要最小限」といえるか、難しいですが、発明のポイント(本質)をしっかり捉えて文字(文章)に変換することが重要になってきます。
図面の描き方が雑
これもよく見かけます。図面の描き方が雑になってしまうと、特許庁の審査官は、発明を理解しにくくなります。そうすると、審査官が発明の内容を誤解してしまって、思いも寄らない、変な拒絶理由が通知されてしまいます。さらに、時間が経って自分が見たときにも、発明を理解しにくくなってしまいます。そのため、図面はわかりやすく記載することが望まれます。全体から細部へと順番に1つ1つ丁寧に説明したほうがよいです。そして、発明のポイントについては、できる限り多くの図面を使って説明したいです。図面に示された要素への符号の付け方にも注意を払いたいところです。
まとめ
今回は、弁理士に依頼せずに個人で特許申請するときにやりがちな5つのミスについて解説しました。
- 様式が整っていない ⇒ 様式は整えましょう。
- 従来技術の記載量が多い ⇒ 従来技術の記載量は少なくてOKです。
- 発明の実施例の記載量が少ない ⇒ 実施例はたくさん記載しましょう。
- 特許請求の範囲の記載量が多い ⇒ 請求項は、不明確にならない程度に簡潔に記載します。
- 図面の描き方が雑 ⇒ 図面は丁寧に描きましょう。
ここで挙げた5つに注意するだけでも、申請書類の質が大きく改善すると思います。ぜひ参考にしてみてください。弊事務所でもアドバイスさせていただきますので、お気軽にご相談ください。