特許申請の図面の書き方
特許申請の図面の書き方
ほとんどの特許申請には、図面が添付されています。図面については、図面の様式について説明されている一方で、実際にどんな図面が必要なのか、どうやって書けばよいか、については説明されている記事がありません。
この記事では、どんな図面が必要なのか、どうやって図面を書くか、について知ることができます。
図面の描き方について説明します。
そもそも図面は必要か?
特許申請や実用新案申請には、図面が添付されていますが、どうしてでしょうか?
これは、そもそも特許権が発明を公開した代償として与えられるためです。つまり、特許申請書類を提出して発明を公開するときに、発明をわかりやすく提示するために、文章だけでなく図面が必要になってきます。
さらに言うと、わかりやすく提示することで、特許庁の審査官も発明を理解しやすくなります。審査にも必要です。
一方で、化学分野などの図面が必須ではない分野では、図面が添付されない場合もあります。ちなみに化学分野では、図面よりも表や写真が多用されます。
図面の書き方
どんな図面が必要か?
発明を説明するために必要な図面が必要です。したがって、発明のポイントと関係のない図面は不要です。
一般的には、申請書類の文章には、はじめに全体の説明があり、次に各部の説明があり、最後に部品の説明があります。そのため、図面も説明の流れに沿って準備します。
図面の順序
図面はわかりやすく提示すればよいので、特に書き方の決まりはありませんが、一般には、全体から小さい要素へと、説明していきます。説明の順序と同じです。
図1 自動車全体の説明図
図2 駆動系の説明図
図3 エンジンの説明図
とにかくわかりやすく、かつ、漏れがないように図面を選びましょう。図面は補正の基礎として採用されることもあるため、文章を記載するのが面倒なときには、図面を多めにしておくのもよいです。
図面の種類
図面には、例えば、以下のような種類があります。
- 側面図、正面図、平面図、底面図など
- 断面図
- 斜視図
- 概念の説明図
- ブロック図
- フローチャート
- 表
- 写真(グレースケール)
これらの図面の種類は必要に応じて使い分けます。中でも、斜視図はわかりやすくてよいのですが、図面を描くのに一番手間がかかります。わかり易さと手間のバランスを考えて斜視図を用いましょう。
斜視図は描くのがたいへんです。
施行規則について
施行規則には、図面の中に符号表を描くことがよい、と書かれています。しかし、最近はこの通りに書かれている図面はありません。気にしなくていいでしょう。図面はモノクロか、グレースケールで提出することになっています。
書き方
図面は発明のポイントがわかるように描きます。とはいえ、説明のためには、ポイントとなる部分以外の図面も必要になってきます。このように発明のポイントと関係のない図面は簡略化して描いてOKです。
引出線は、それが指し示す物(要素;部品)から、垂直に引き出して途中でカーブさせるとわかりやすく、かつ、美しくなります。
一定の範囲を指定したい場合には、範囲の周辺を矢印を用いて示すとわかりやすいです。
見えない部分は鎖線で描きます。その場合は、見えない部分を指し示す引出線も鎖線とします。
中心線は描かない方がよいとされていますが、描いても大丈夫です。描く場合には一点鎖線とします。
断面を描く場合には、断面となる部分に斜線(ハッチ)を描きます。ハッチについては、種類も使い分けたほうがわかりやすいです。
符号の付け方
わかりやすければ、よいです。特に決まりはないです。ただし、大部分の申請書類は、以下のような決まりごとに沿って符号が付けられています。
符号の付け方にもセンスがあります。
車体1、タイヤ10とします。
ホイール10aとします。
ホイール101とします。
バンパーa、ヘッドライトbとします。
描画ソフトについて
どんなソフトを使ってもよいのですが、多くの特許事務所では、アドビ社のIllustratorを使っているようです。(マイクロソフト社のパワーポイントを使って描いている人もいるようです。)
弁理士事務所では、実際に特許庁に電子出願する際には、グレースケールのjpegか、png(白黒)にして申請書類中に貼り込みます。
まとめ
現実には、発明者様から図面としてCADデータをいただくことも多いです。発明者からCADデータをもらったときには、無理に図面を描く必要はないです。臨機応変に対応しましょう。
特許申請書類の文章の書き方については以下の記事もご覧ください。